Update 13.Apr.2025


番外編 Amazon 99円のDC-DCコンバーター顛末記

Amazon 99円のDC-DCコンバーターはアマチュア無線関連ではないがおもちゃいじりとしては結構おもしろくて久々に楽しめた。
近頃はおもちゃいじりも低調で、タイトルのユニットは汎用で他にいろいろと使えそうなこともあるのでその顛末を記事にしてみた。

1976年登録のヤマハ製80ccの古いオートバイ(GR80改)があってウチのXさん専用で今も乗っている。不明ブランドのハーレー用とかで 後付けの電気式タコメーターが壊れてしまって代わりを取り替えることになったのだが、 新規購入ではなく手持ち保管の他車のタコメーターを使うことになっていろいろ仕様の違いがあってもなんとしても取り付けてみたいというその対策の為の購入である。
用意したタコメーターは径が85Φでかなり大きく2ストローク2気筒用で電源が12V、オートバイは2ストローク単気筒でフラマグ点火式の電装6Vなので 電源電圧とイグニションパルス数をタコメーターの仕様に合わせる必要があった。

まず電源電圧は以前の壊れたタコメーター(やはり12V)では他の方法、つまり充電用AC出力をトランス昇圧とシリースレギュレータで作っていたが、 余計な消費電力が大きくて不都合が多かった。他になにか良い方法はないかと物色してAmazonで昇圧タイプのDC-DCコンバーター基板を見つけて、 なんと送料無料税込99円をマユツバで買ってみたと言うこと。もう少し容量の大きいのも198円であったので試しにダメ元でそれぞれ2個ずつ買ってしまった。
出荷元は中国で2週間余りかかったが無事配達された。残り三つもあるのでなにか他にも使い道考えないと(笑)

2ストローク単気筒エンジンのイグニションパルスは1回転1パルスなので、以前のタコメーターの4ストローク2気筒用ではそのままで正常な回転数指示だったが、 今回使用のタコメーターでは半分の回転数しか指示しないので1回転2パルスを得られる信号源を探したら充電用のAC出力電圧が正確に使えることが分かって入力に 小さな信号用トランスで昇圧して計数パルス信号とすることができた。



マーケットプレイスの無料配送でこの価格、Amazonの販売・発送システムってどうなってんだろう?
ほぼ同じ物で並行輸入の国内販売なら2,3日で届くらしいが価格は少し高く送料もかかるみたいだ。




DC-DCコンバーターの特性測定・基板実装・擬似信号によるテスト

この昇圧DC-DCコンバーターは予想よりも性能や品質は良さそうで大きな問題はないようだ。 入出力の動作電圧範囲が広く動作電力が少なくてAVR機能もあって出力電圧の安定度も あるのでなかなか良いが、過電流・過電圧・過熱などの保護がない。また出力ラインにはいろいろなリップルやノイズがあってS/Nなどを気にするオーディオ系には 不向きだろうと思うが今回の用途から考えて深くは追求しない。
入力電圧は2V〜24V、最大出力電圧は28V(推奨26V)、最大出力電流は2A(推奨1A)で、出力電圧は入力電圧より1.5V以上高くする必要がある。
出力電圧設定のポテンショメータは機械的なエンドストップがないので何回転型かはっきりとわからないが、細密な調整が出来るのが良い。
仕様ではMT3608というPower MOSFETのICで出力電流は2Amaxとあるが、入力電圧7V、出力電圧12Vでのテストでは400mAの負荷で相当の発熱があるので 放熱・冷却対策をしなければ安定・安全に使用するには200mA負荷くらいまでが良いだろうと思う。



microUSBインターフェース付。国内ではポテンショメータだけで基板価格超えそう。


入力電圧7Vで出力電圧12.0Vと13.8Vでの負荷特性を測定した。


出力にはリップルやノイズが結構ある。スイッチング周波数は1.2MHzと高い。


試しにアルミ電解コンをパラに入れてみたがコンデンサの特性的にも意味ないね^^


イグニションパルス(上)とAC発電機の出力電圧(下)の波形。周期の関係がわかる。


本体との接続はギボシ端子で、メーターとの接続は中継コネクタで。


ユニバーサル基板にコンバーター基板と信号用トランスを実装、ケースに収める。


ケースは文具の押しピンの入っていた箱を加工してマットブラックに塗装したもの。


電源出力電圧13.8V、擬似信号でメーター動作テスト。60Hzで1800rpmを指示、OK♪


トランス出力をブリッジで両波整流して120Hz擬似信号を作り3600rpmを指示、OK♪

ヤマハミニトレGR80に取付

タコメーターはゴムブッシュを介して取付金具へ取り付ける。コンバーターユニットケースはハンドルを動かして ヘッドライトや周辺のハーネスやワイヤー類などと干渉しない、または少ない位置を決めて取り付ける。
エンジン始動してタコメーターの動作を確認。パルスのカウントミスみたいな不安定な指針の動きもなくレーシングでは8000rpmまで淀みなく噴き上がるので エンジンも良好。
この時代の小排気量オートバイはどのメーカーでもそうだが電装設計に余裕がなく、特に発電機に関してはエンジン出力に大きく影響するので必要ギリギリの 容量のものが多い。よってヘッドライトなどの灯火類、充電などの電装品はそれぞれ必要最小限の消費電力にしてバランスを取りながらの設計になっている。 例えば充電能力を上げようとしてヘッドライトのバルブを25Wから15Wにしたとすると充電用の電圧は上がるがヘッドライト、テールランプへの電圧も上がるのでエンジン回転を 上げた時に更に電圧が高くなってフィラメントがすぐに断線する。
バッテリー電圧はエンジン高回転でも7Vちょっとまでしか上がらないが発電機の能力の限界で不十分でも充電はできているレベルで致し方ないが、タコメーターへの供給電圧を 昇圧DC-DCコンバーターで13.8Vにして動作させていて定電圧特性があるのでアイドリング時の低電圧でも不安定動作にならないし負荷電流も最大で150mA程度なので追加電装品として 充電不足の大きな要因になることはないと思う。



本体ブラケットを加工して別に作ったタコメーター取付金具を取り付ける。

ケースは位置,向きが微妙で内臓の基板と共締めでタコメーター取付金具の裏側に取付。


中央のスピードメーターと比べて異様に大きい!視認性良好で見慣れてしまえば良し^^

 MT3608
 High Efficiency 1.2MHz 2A Step Up Converter
 FEATURES
 ・Integrated 80mΩ Power MOSFET
 ・2V to 24V Input Voltage
 ・1.2MHz Fixed Switching Frequency
 ・Internal 4A Switch Current Limit
 ・Adjustable Output Voltage
 ・Internal Compensation
 ・Up to 28V Output Voltage
 ・Automatic Pulse Frequency Modulation Mode at Light Loads
 ・Up to 97% Efficiency
 ・Available in a 6-Pin SOT23-6 Package

 ☆回路図、実体配線図などはこちら
 ☆コンバーター基板の特性測定はこちら
   *改造、追加、変更、廃止などで現状とは異なることもあり。