谷川岳から蓬峠縦走  '74.10.4〜10.6
土合〜谷川岳〜一の倉岳〜茂倉岳〜武能岳〜蓬峠〜土合

肩の小屋を横目に谷川岳頂上のトマの耳(1963.2m)へ。
そのすぐ先がオキの耳で、その間の岩のリッジ越に下を覗くのだが、ガスで何も見えない。相当の絶壁のはずだが...。


この日ちょっと珍しいことを体験することに。
富士TVの当時の小川宏のモーニングショーのクルーと居合わせて、相棒との二人に撮影の「出演依頼」だ!
一人は頂上にたどり着く人、もう一人は岩陰で食事する人。
大宮の街で買って持って来た径18Cmのアップルパイを紅茶を入れてうまそうに(本当にうまかった!)食べてやった。
これはそのときのショット。
番組タイトルは『谷川岳よ我が子を返せ!』だったと、後で新聞でみた覚えがあるが、放映日はこの先を縦走中で観ることは出来なかった。
たしか当時土合にある遭難碑の名前が600名ほどあったと記憶しているが、関連して何か特集をしたのだと思う。


この先、茂倉岳,武能岳,蓬峠へと、びっしりと熊笹が続く稜線を歩く。
遠目には気持ちのよさそうな緑の絨毯なのだが、夜露か雨で濡れた笹は始末が悪い。スパッツを付けようと気が付いた時はもう遅い。
膝からしたはビショビショ!



土合駅下り線ホームから、480段あると聞いていたが、長い階段を登って改札へ。
夜気の冷気も登山者の多さであまり感じない。

マチガ沢に入ってすぐに道の脇にツェルトを張って仮眠をするのだが、足音がドッドッと結構うるさくてなかなか眠れない。

秋の紅葉が美しい、西黒尾根の下部をエスケープする巌剛新道を登り、やせた西黒尾根に出た。休むにはちと狭い。
右のマチガ沢の荒々しい岩場やわずかな雪渓の残雪や頂上のトマの耳,オキの耳を見上げて谷川岳に来たことを実感する。
ザンゲ岩までがんばる。


魔の山と呼ばれ恐れられる谷川岳も、この時期に登山ルートを歩く限りなんともあっけない。
ただ、天候だけはこの日も悪く、晴れることはなかった。
展望盤もあり、関東平野,日光,尾瀬や日本海側の山なみが見渡せるはずなのに残念。


一の倉岳ピーク手前のノゾキから彼の有名なルンゼをうかがうが、濃いガスが吹き上げて何も見えない。
恐ろしいほどの絶壁が眼下にあるはずなのだが...。
一の倉岳直下でツェルトの幕営。
谷川連峰の稜線は水がないので不自由で苦労する。
食器は凹地の溜り水を探して汚れを落として「ちり紙」で磨きあげる。
翌朝使うと臭いが残っていてノドにグッと来る!


蓬峠の避難小屋から湯檜曾川右岸を一気に下り土合へ下山。
今夜中に我が家まで帰る予定なのだ。
途中、一の倉岳の幽の沢までアルバイト、衝立を見上げてその凄さを実感する。
名から受ける印象のとおりなんとも奥深く幽想な雰囲気、写真に幾多の遭難の霊が現れるのではと思ったりもした。