Update 15.Aug.2013
50McA3固定チャンネルトランシーバー
'69〜'70年頃にかけて完成させたが事情があってアマ無線が出来なくなって来た頃であまり実用の記憶がない。製作の資料が引っ越しなどでなくしてしまって細部の詳しいことがわからないのも困ったことだ。
数年かけて各部のユニットとしてプリント基板を手作りで起こしてそれらを寄せ集めた集大成。中には違う目的で作ったものもあるが、基板サイズは一応ルールを決めていた。


市販のシャーシをケースに見立ててユニットまるごと引き出せる構造にした。
この無線機の特徴は当時ローカルクラブで決めていたチャンネル2波の固定チャンネルとしたこと。そのために市場に出回り始めた東光のIF用メカニカルフィルタに注目して50Mcからいきなり455Kcに変換するシングルスーパーの実験的な意味もあったが、引き込みとか発振などのトラブルも出なくて回路的には成功だったと思う。しかし、当時ワタシが入手出来る安価な水晶発振子では周波数精度に問題があり表示周波数に対して大きな誤差があるものが多くて、モノチャンネルならIF周波数の微調整で対応出来てもマルチチャンネルではそれぞれのIF周波数にズレが生じてある1波を基準にすれば他は帯域内から逸脱することになり十分な受信感度が得られないことを後で気が付いた。と言うことで3チャンネル用意したが補正できないので使えるのは1チャンネルだけのお粗末。

1.5mのロッドアンテナが付いていたが取り外してしまった。スピーカーは外側(カバー側)に付けるつもりだったが、調整とかメンテを考えてあえてケース側にした。

コールサインの銘板はアルミ板に彫刻刀で彫ってラッカーで墨打したものだが、実はハンディ機に付けていたものをこれに付け替えた。

電源は12Vで内蔵電池は単二を8本。メーターはラジケーターとか言って沢山出回っていたジャンク品で、送信出力モニターと受信Sメーター。赤いボタンはキャリブレートスイッチ。

大まかな構成は右が送信・変調部、左が受信部で、中央にスピーカーと変調器出力トランス、プレストークリレー、後部(底部)がバッテリーボックスになっている。

受信部と変調アンプはゲルマニウムPNP、送信部のみシリコンNPNトランジスタを使用している。そのため、基板ユニットそれぞれの設計目的や製作年の違いも相まって接地は(+)と(−)が混在してちょっとややこしいことになっている。今回久しぶりに動作させて不具合があって修理をしてみて思い出したことなのだが、要注意だった。

一度こんな構造でやってみたかったとアングルやらアルミ板を切り刻んで組立てた。各ユニットの製作年月日が見て取れるが、コツコツとやっていた。
プリント基板は塩化第二鉄液に浸して不要部分を腐食させるエッチング式で作った。水洗浄とワニス処理をしっかりできた基板は今でも酸化することなく奇麗だ。

送信部は3rdオーバートーン発振と終段の2石で、確かNECの2SC38のコレクター変調で出力は200mWくらいだったと思う。
終段タンクコイルから出力コイルでダイレクトにアンテナに。さらにゲルマニウムダイオードで検波して送信出力モニターのメーターを振らせている。

受信部はRF1-IF2の局発がXtalのクリコンタイプの固定周波数のシングルスーパー。IF初段にのみ東光Hシリーズのメカニカルフィルタを入れてある。
当時としては現在のDSP技術からするとなんともまあ比較のしようもないアナログの先端デバイスなのだが、50Mcならこのくらいの緩さでも良かった。