Update 24.Mar.2024


テレビ用手元スピーカーの製作

昨年から耳が少し遠くなって無線交信の声やTVの声、直接の会話でも少し聴き辛いことが多くなって 近くの耳鼻科を受診して検査・診察の結果、加齢による軽度の難聴とのことだったが、声の大小もあるが声質、しゃべり方などにによるところも 大きいような感じがする。
補聴器はまだ考えになく、とりあえずTVの音声を聴き取り易くしようと思ってTV用の手元スピーカーを色々と調べてみたら各社それぞれの 市販品があって、1機種候補にあげて購入しようと思ったがその前に手元スピーカーとはどんなものかと自作してみることにした。
市販のものはすべてワイヤレスになっていてTVからかなり離れていても使える便利さはあるが、私の場合はその必要はなくTV間近での補聴なので 有線で継なげば良いと言うことで、それなら手持ちのパーツや材料でそれほど費用をかけずに出来るので1台作ってみた。
使ってみて音量を上げての効果はあるが言葉の聴き取り難さはやはりあって、映画やちょっと前の再放送のドラマとかバラエティなど番組や人によって 聴き取り易さ、難さがあり、これはメーカーの既製品であっても同じようなことがあるのではないかと思う。
メーカー製のものにはTVリモコン機能などが付加されたものもあるが使い勝手を考えたら必要でもないし、サウンドバーやホームシアターが目的ではなく 補聴のための手元スピーカーなので性能的にはこれで良いのかと思ってしばらく使ってみることにする。


6cmフルレンジスピーカーのステレオ、電源スイッチはONのまま。ACアダプタでON/OFFするので不要だったかも。


入力は3.5Φ3極切替スイッチ付(ステレオ)とRCAピンジャックの2系統、電源のDCジャックはセンター(+)5.5/2.5Φ


パワーアンプの製作
パワーアンプIC・TA7205APはカーオーディオ用に開発されたバイポーラ型の相当古いICで、1970年代にはすでに前身のTA7205Pがあった。
今回のは1980年頃に業務で使う為仕入れたものの残りが10個ほどあってデッドストックになっていたので少しでも消化出来て良かった。
タイプとしては準コンプリメンタリで単一電源なのでOCLではないがそれほどに音を究めるわけでもなく、出力も大きく各種保護回路も内蔵されており コンパクトに出来るのでこんな用途に丁度良い。
このアンプ基板を作る前に同ICを2個使ったBTLプッシュプルのモノラルアンプを作って性能を見たら 約3倍の出力が得られることがわかったが、そんな大出力は不要なのでシングルで十分となった。
出力のカップリングコンデンサが同一メーカーで揃えられず少し気になって残念だが、在庫消化も目的なので致し方ない。



コネクタ接続にしようと思ったが狭いので直付けのピンポストでやることにした。


基板サイズとヒートシンク・フィンの関係で変則的で一部実装密度が高くなった。


ICの放熱タブの取付は1.5tアルミスペーサーを介しサーマルコンパウンドを塗布する。


基板レイアウト、パターンは完全なシンメトリーで設計できる。


ボックス内収納でガードは必要なかったな。これなかったら基板設計はもっと楽に。


6cmフルレンジスピーカーはメーカー不詳、f特,音質などは良く許容入力も大きい。


フロント,リヤパネルは1.0tアルミ板でシルバーメタリック塗装。薄めだが強度は十分。


各パーツ取り付け。パイロットのLEDは裏側でボンド固定。


組込状態想定で本配線して動作テスト、音出しをしてみる。特性測定は後日別の機会に。

コネクタ配線にしておけば良かったがこの程度のことなら直付けで差し支えない。

スピーカーボックスの製作


木材も結構高いので節約で他用途残りの9mm合板から各部材を切り出して加工した。


必要な穴加工をして木工ボンドで接着して組み立てる。直角,端面の揃いに気をつける。


平面,端面,加工穴などサンドペーパーやヤスリで研磨してささくれなども取り除く。


合板なので細かい剥がれなどは気にせず各パーツ,ユニットを仮付けしてみる。


マットブラック(つや消し黒)のスプレーラッカーで塗装してみた。




パワーアンプユニットの組み込み


色,大きさがちょうど良い感じのティアックタイプのコントロール・ノブにしてみた。


独善的な工程,ノウ・ハウによりまずフロントパネルユニットを取り付ける


パワーアンプユニットをボックス底面からの皿ビス2ヶ所で固定する。


内部の布線スタイルを整えてからリヤパネルを取り付ける。


スピーカー配線、極性を間違わないように。


吸音材のグラスウールがどこかに仕舞い忘れて見つからないのでとりあえず無しで。


前面


背面

TVに接続、実用に
TVとの接続はヘッドホン出力の3.5Φミニジャックからミニプラグーミニプラグの6mケーブルで継ないでいる。
音声ライン出力のRCAピンジャックもあるのだが1系統しかなく外部オーディオシステムの接続に使っているので今回はヘッドホンジャックから。
TVのコントロール機能では各出力端子の音声出力方法設定で異なるファンクションもあるが音質的には同じなのでどのポートでも問題ない。
光のデジタル音声出力端子もあってそれで接続をしたかったのだが、アナログコンバーターの手持ちがなくボックス内の収納スペースも少ないのでやめた。 廉価な外付けのアナログコンバーターがあるので入手してそれを使って光ケーブルでもやってみようと思うが、長い光ケーブルを 床面にはわすのは引っ掛けて痛めてしまうなどで問題が起こりそう。
アンプのf特はフラット、スピーカーは6cmフルレンジ、スピーカーボックスとしては密閉タイプで容積が小さくどうしても低域の再生は不足なのだが、 加齢による難聴対策としては中・高域の音を補聴する意味ではそれで良いとも思える。各社市販のTV用手元スピーカーの特性や使用のインプレッション、レビューを みても多くは低域の再生レベルは低く中・高域に設計目標があるように思えるのだが。
自作でも聴感としては歪みもなくクリアな音質で出力も十分あり、音としての 性能本意では既製品に十分太刀打ちできるものと思っている。
久々におもちゃいじりが楽しめて良かった♪



TVみながらコタツムリ、音を間近で。これが目的♪

主な仕様・諸元
・ボックスサイズ W300×H109×D119 (脚除く)
 スピーカーエンクロージャー 密閉 容積 約900立方センチメートル 2室 吸音材なし
・スピーカー(L/R) フルレンジ 2.75インチ(6センチ)
 周波数特性 150Hzー18kHz
 インピーダンス 4Ω 許容入力 20W(推定)
・パワーアンプ 東芝TA7205AP シングル×2 ステレオ
 出力 約4.5W Vcc12V RL4Ω(5.8W Vcc13.2V RL4Ω THD10%)
 入力インピーダンス 40kΩ *入力感度を後日測定のつもり
・入力ポート 3.5Φミニジャック 切替 RCAピンジャック(L/R)
・電源 DCジャック(プラグPL03Aセンター(+)5.5/2.5Φ)
 動作電源電圧 DC10.5V〜18V
 ACアダプター スイッチングタイプ 12V 72W(12V 6A)を使用
 (12V 36W 3Aタイプで十分可)


 ☆パワーアンプ回路図、基板図はこちら
 ☆実体配線図はこちら (笑って見てください♪)
 *改造、追加、変更、廃止などで現状とは異なることもあり。